はじめに
日本国内では、電力多消費産業の関係者ばかりではなく、若い世代にも原子力発電支持が多いのであるが、反原発を主張する朝日、毎日、東京の諸新聞の論調では、国民の半数以上が原発反対であるという報道になっている。彼らの都合に合わせたアンケートをしばしば行って、あたかも彼らの主張が正しいかのように報道するのである。
彼等が本当に状況を正しく分析・評価して報道をしているとは思えない。
彼等は常に「公正」を売り物にしているが、原子力発電が関係するニュースの場合には「それは本当か?」と問い掛けたくなる報道に終始している。また、いわゆる「後出しジャンケン」報道が多い。つまり、事実が分かってから初めて尤もらしい批判を展開するのである。これらを総合して考えてみると、反原発新聞は、公正な報道をすべく努力をしているのではなく、彼らの都合が良いように世論を誘導しているとしか考えられない。あるいは、彼らには事実を客観的に分析・評価する能力が実は備わっておらず、都合の良いように作文をしているだけだという目で見ると、納得できる報道が多いのである。
1.システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)
この聞きなれない用語は、ノーベル経済学賞をもらったダニエル・カーネマンの [ファースト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか、ハヤカワ文庫 ] に出てくる用語である。
直感的思考や知覚、記憶に基づいた思考はシステム1的と呼ばれ“早い思考”を特徴とする。友人を見て瞬時にA君だという認識はシステム1。システム2は時間をかけて頭を使う“遅い思考”のこと。3x4=12は記憶に基づいて即座にでき“早い思考”の結果。では、29x37の暗算はどうか。数分はかかる。これは時間をかけて頭を使う“遅い思考”を特徴とするシステム2。人間はこのシステム1と2を適当に使い分けて生きている。
このような話をここで持ち出す理由はなにか。人々の“誤解”は一体どのように生じるのか、その心理的メカニズムは何か、について考察してみたいからである。
同書には、システム1と2の他に、思考がどのような心理的要因に影響されるか、について多くの記述がある。種々の心理現象として、イ)アンカー効果、ロ)フロリダ効果、ハ)後光効果、ニ)メンタル・ショットガン、ホ)先行刺激効果、などが紹介されている。それらが特に印象的なのは、心理現象を筋道立てて説明する用語を持たないと“思い付き”しか語れないが、持てば心理現象を論理的に語ることを可能にする、という事実である。
この聞きなれない用語は、ノーベル経済学賞をもらったダニエル・カーネマンの [ファースト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか、ハヤカワ文庫 ] に出てくる用語である。
直感的思考や知覚、記憶に基づいた思考はシステム1的と呼ばれ“早い思考”を特徴とする。友人を見て瞬時にA君だという認識はシステム1。システム2は時間をかけて頭を使う“遅い思考”のこと。3x4=12は記憶に基づいて即座にでき“早い思考”の結果。では、29x37の暗算はどうか。数分はかかる。これは時間をかけて頭を使う“遅い思考”を特徴とするシステム2。人間はこのシステム1と2を適当に使い分けて生きている。
このような話をここで持ち出す理由はなにか。人々の“誤解”は一体どのように生じるのか、その心理的メカニズムは何か、について考察してみたいからである。
同書には、システム1と2の他に、思考がどのような心理的要因に影響されるか、について多くの記述がある。種々の心理現象として、イ)アンカー効果、ロ)フロリダ効果、ハ)後光効果、ニ)メンタル・ショットガン、ホ)先行刺激効果、などが紹介されている。それらが特に印象的なのは、心理現象を筋道立てて説明する用語を持たないと“思い付き”しか語れないが、持てば心理現象を論理的に語ることを可能にする、という事実である。
先日NHKの番組で、原子力規制委員会(以下規制委員会と称する)の新規制基準に基づく安全審査に合格しても、再稼働に反対する人が賛成する人を上回っていると報道された。
再稼働の賛否は個人の自由であるが、事故後に日本の原子力発電所の安全がどのように強化されたか知らないで賛否について投票しているとすれば残念なことである。平成27年2月4日に日本保全学会第15回保全セミナーが、東京大学浅野キャンパス武田ホールで140名を超える参加者を得て開催された。福島第一発電所の事故を踏まえて、規制委員会が制定した新規制基準に対する原子力発電所の適合性審査が現在進められているが、それに対する事業者の取組みや保全学会から見た現行規制の課題と提言について報告された。内容は、現在の原子力安全についての最先端の議論であり、専門的ではあるが、一般の方が原子力安全についてどの程度進展したのかが分かる良い講演でもあったので、安全の進展について理解に役立つところを抜粋して紹介したい。
2015年1月30日から経産省の有識者会議「長期エネルギー需給見通し小委員会」での議論が始まった。1月31日付の日経新聞の報道によると、そこでは初会合から委員の意見が割れたそうである。原子力を一定の比率で維持するという意見から、震災前のエネルギー構造を大きく見直して原子力比率を縮小させるべきとの意見まで隔たりは大きいとのことである。
朝日新聞の朝刊連載に「記者有論」というコラムがありますが、2015年1月16日付で編集委員の黒澤大陸とかいう人が「大災害への備え 理学と工学の違い超えよ」という面白い記事を書いていたので紹介します。なかなか良いことを書いておりますので、原文を図書館などで読んで頂ければ幸甚です。
原子力発電所の安全対策を取り上げているのですが、理学者と工学者との間で根源的な意見の対立があり、「宗教が違う」と表現されるほどにその溝が深いと指摘しています。
そもそも、原子力発電所は、事故・故障や自然災害が起こっても大きな事故に発展しないように基準が定められており、まさに工学の塊なのです。しかしながら、福島事故を契機として、地震や津波の想定など不十分だとする理学者の理想論だけが独り歩きをし、工学者の意見が脇に押しやられてしまっているように見えます。
1. はじめに
本号は“IOJだより”100号である。非力な私たちが3年以上に渡って、原子力の正常化に向けた努力をここまで続けられるとは今更ながら驚きである。またここまで来たかという安堵感もある。ボランティアとして参加してくれた編集委員諸氏が、侃々諤々の議論を重ねた結果100回に及ぶ刊行を可能とした。3年間で35万の閲覧件数は素人集団としては想定外であった。我々は少し胸を張っても良いのだろう。また“IOJだより”を愛読していただき、励ましの声をお寄せくださった会員諸氏には感謝あるのみである。
しかしながら、ここで諦めてはならない困難な課題がある。
福島原発事故を受けて、原子力の推進と規制を同一省庁で行うべきではないとの従来からの指摘を実現し、公取委と同様な独立性の高い原子力規制委員会に踏み切ったことは、評価すべきである。しかし、原子力規制委員会設置法を成立させた民主党政権は、脱原発の政策を打ち出し、それに沿って、委員の選任、運営の仕組みなど大きな問題を抱えたまま、制度を発足させてしまった。我々は、米国NRC(原子力規制委員会:Nuclear Regulatory Commission)の制度との比較において、現行の規制委の問題点を図・写真等をできるだけ活用して両者の違いを明確にした。
日本の原子力規制委が抱えている問題点は以下の5点に集約される;
・安全性と経済性のバランスを軽視した規制
・規制委員が直接審査を指揮する
・諮問委員会の本来の役割の否定
・規制委に対する監視機能の欠如
・偏った有識者会合審査の人選と事業者との意思疎通の軽視
これ等の問題点が米国NRCではどのように解決されているのか、以下に説明する。
数日前(8月5日付)朝日新聞は日韓関係の重大な支障になっている“従軍慰安婦”に関する自らの報道が虚報であることを認めた。一連の虚報のおかげで我が国がどれだけ濡れ衣(ぬれぎぬ)を着せられ、国際的にどれだけ国としての尊厳を傷つけられてきたか、良識的な国民は朝日を許すことはできないであろう。しかも虚報であることを認めながら、論点をまやかしにして責任をとろうとしない。国会での証人喚問を行い、場合によっては廃刊に追い込むことも辞してはなるまい。
はじめに
“文明”という言葉に対する誤解を避けるため、はじめに定義しておきたい。その時、福沢諭吉の「文明論の概略」が基準になるが、その一般性は「文明論の概略」がギゾーやバックルの西洋文明に関する著書を踏まえているので、信頼できる。例えば、原子力の技術体系そのものは学術体系であって文明論ではない。文明は必ず、大衆の生活の諸相を包
全原発が停止して久しくなりますが、立地地域における再稼動の要求は切実なも のがあります。再稼動を果たして、地元に直接安い電気を供給する、交付金の活用などで立地地 域を活性化することは決してできないことではありません。