政府はこれまでの原子力政策の見直しを行ない、原子力エネルギーの活用が日本にとって必要かつ重要であることを明確化し政策を転換した。 これは、福島第一事故後の原子力政策の大転換で高く評価されるものであるが、首相と政府が方針を打ち出しただけで、福島事故後の12年間で傷んだ日本の原子力界の回復と活性化が自動的に達成できるものではない。本報では、日本の原子力の現状と対策について「日本のエネルギーを考える会」の会員が議論した結果について記し読者の評価を待ちたい。
〜水素の需要(水素は経済的に成立するか)〜
1.はじめに
本サイトの「SEJだより第24号」“脱炭素社会におけるエネルギーキャリアーとしての水素の役割(その一)”で水素製造に関わる課題について報告し、更に製造した水素の輸送関しては(その二)で検討した。ここでは水素需要の際の課題について考えてみる。
ロシア侵攻をきっかけに化石燃料資源の不足が現実になるとともに、脱炭素と相まって原子力発電の必要性が世界で認識されつつある。原子力発電は計画から運転まで10年以上を要するが、小型モジュール炉は小型炉の特性を取り入れた安全炉であり、工場生産であるので鉄道や船舶で発電サイトに搬入し組み立てればよく、あたかも航空機を購入すればよいように、短期間で発電が可能であろう。
2021年10月から2週間にわたり英国・グラスゴーにおいて、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が行われた。COP24 からの継続議題となっていたパリ協定の市場メカニズム、透明性枠組み等の実施指針、報告様式等の重要議題で合意に至った。本稿はこれらの課題について紹介する。
日本政府は、2050年にはカーボン・ニュートラルを目指すことを宣言した。これを実現するためには火力発電を最小限とし、原子力と再エネで賄う必要がある。なかでも太陽光発電の大幅な拡大を目指すには大きな問題を孕んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、ワクチン接種はOECD先進国の中でも最下位である。「医療先進国と自負する日本は、なぜ国産ワクチンの開発が遅れているのか、それは原子力先進国の再稼働や新規導入の大幅な遅れと共通ではないか」。欧米など海外の開発に大きく後れをとった背景と課題を検証し、わが国がこれから取り組むべき方策を考えてみたい。
EUは気候変動対策にあまり積極的でない国からの輸入品に対して炭素税を課さなければならないとして、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)に関する決議を採択した。米国も同様な動きがあり、日本も適切な対応が望まれる。以下にその問題点を紹介する。