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SEJ 日本のエネルギーを考える会

29号  班目安全委員長の記者会見と運転再開条件


カテゴリ:  原子力安全    2012-2-28 18:10   閲覧 (4460)

【要約】

原発の安全性は、設置許可やその後の定期検査などで体系的かつ定量的に評価される仕組みになっている。このような“仕組み”が有効なことは、400基以上のプラントで40年に渡る運転実績によって十分保障されている。こういう現実を無視するから、今の混迷がある。プラントの安全性は、このように、保安院と原安委によって膨大な技術資料に基づいて評価されるのが基本。しかし、これを理解するのは易しくない。専門的判断と一般市民の理解の間にこのような大きなギャップがあるため、不安を抱く市民はマスコミに煽られるばかりになる。保安院の毅然とした説明責任が重要。
従って市民レベルで「原発は安全かどうか」を見定めるのは易しくないが、「プラントの運転経験」に着目するのは有効な方法である。具体的には、以下の3条件が「運転再開の簡易的な目安」になると考える。
詳しくは詳細をご覧ください

28号 原発寿命40年の意味するもの


カテゴリ:  原子力政策    2012-2-23 16:20   閲覧 (6971)

【要約】
設計寿命は“政治”ではなく“技術”が決める
構造物が何であれ、それを設計・製作するには主要な設計パラメーターを決めることから始まる。いわゆる仕様書の作成である。その仕様の中で、その構造物を何年間ぐらい使用するのかを設計上想定する。金属疲労等の技術評価をするために必要だからである。その使用期間を世間では寿命と呼んでいる。設計寿命は設計者が各種の条件を勘案して決めるものであり、あらかじめ政治的な理由などに準拠して決められるものではない。実際には安全性、経済性、技術の変化などを考慮して設計上、使用期間を40年と設定したものである。
最初に、民主党の中途半端な政治指導のもとで混迷を深めている原子力行政の中にあって、行政責任を持つ幹部は「原子力施設の使用期間を政治的に決めている国は、ドイツのように教条的な反原発団体があるところを除き世界に存在しない」ことを理解して欲しい。そして国の将来をしっかり見定めた方針を国民にしっかり明言して、実行に移すべきであり、一時の大衆感情に迎合するのではなく技術的根拠に立脚した毅然とした言明を多くの国民は望んでいる。
詳しくは画像をクリックしてください


【要約】
事故原因に対する対策は既に欧米で実施されている例があり、適切に組み合わせて対策にできる。日本でもしっかり対策をとればこんな大きな事故は防げたろう。

(1)米国ディアブロキャニオン発電所の事例
サンフランシスコ近郊のPacific Gas and Electric社(以下、PG&E社)のディアブロキャニオン発電所は、サンフランシスコ地震時の津波を始め、日本やハワイの地震による津波が来襲している。取水口から300m、原子炉建屋から600mの至近距離に活断層が見つかり、建設コストが大幅に跳ね上がったにもかかわらず強固な鉄筋コンクリート(図1)で建屋を補強し、運転にこぎつけた発電所である。(図2)各建屋のドアは潜水艦に用いるような水密ドアを設置している(図3)。海岸沿いの海水ポンプには、図4に示すシュノーケリングと呼ばれる鋼鉄製の円筒(写真中の○印)が被せられ、モータの空冷を確保しながら津波対策をとっている。
詳しくはIOJだよりを

26号 懸念される原発再起動の遅れ


カテゴリ:  原子力政策    2012-2-13 18:50   閲覧 (3737)

【要約】
「ストレステスト」なるものが、今どのような進行状況にあるのであろうか?
ストレステストは1次評価と2次評価に区別されている。1次評価は定検中の原発が再稼働する条件となるもので、2次評価は全原発を対象に適用される。
昨年の10月から今年の2月までの約15基の原発についての1次評価が電力事業者で実施されて、その結果が国の規制当局である原子力・安全保安院へ提出されている。規制当局はこれらを順次審査しているが、その進みは遅々としている。
規制当局が審査のあと、原子力安全委員会、国際原子力機関(IAEA)の審査や種々の意見聴取会を経た後、地元自治体への説明と了承を取り付けると言う気の長い手続きが続く。最終的な判断は首相、官房長官、経産大臣、原発担当相の4者合議によって行うというのが前菅内閣での決め事。つまり、慎重な手続きと言えばそれまでだが、早々の再起動OKはなかなか出ない複雑な仕組みになっている。福島事故後の当面の再発防止対策を講じ済みで、安全が確認されたより健全な原発を再起動させないで国民生活や産業を瀕死の状態にしておく現民主党政権の政治とはいったい何だろうかと思うのである。このままでは今年夏の電力ピークにも到底間に合わないかもしれないとの懸念に対しても、政治の動きは鈍い

将来のエネルギー計画が本年度見直しをされる予定ですが、安心、安全、安価の三要素を満たす事が条件とするなら、原子力発電は今回の事故でその要素の一つである安全を無くしたと考えるのが筋です。
今回の事故原因が天災地変の範疇で有り、予測出来なかったのかと言う事に関しては可能性は有るが低いという判断を東電が下と言う事です。今までいくつもの事故隠しや、問題の先送りをした連中には経産省、電力が居て、判断はここで行われています。メーカーに技術者として働いていて、SCCや熱疲労、エロージョン等の建設初期段階で解明されていない技術問題が発生した時にも、まあ暫くは大丈夫!という発想があり、顧問会でも教授は知らなかった事で。。と立場を守った事も事実です。
 自然エネルギーで原子力発電量を賄えるか?無理です。熱エネルギーの基本が解ってれば、こんな事は誰も考えません。菅首相を始めとした技術音痴の政界や、孫正義のような無知な人間が、自分の立場や金儲けで脱原発と騒ぎたてました。代替え案として、実現が不可能な自然エネルギーを増やすという定性的な話でも、大衆受けはしますからね。マスコミも大衆も、エネルギー問題が自分の生活や老後に影響するとは考えず、企業の海外移転や失業増加、高齢化で福祉国家なんて経済基盤が崩壊すれば絵空事だと気付かないほど無視ですからね。
何を言いたいか、それは原発は国策として必要です。但し、原発は事故を起こす可能性がハードシステムだけではなく、ヒューマンのプラント維持、運転という二つの重要な要素で安全はかろうじて維持されているのだという、40年前の東海1号、敦賀1号、福島1号段階の国、電力、メーカーの意識文化を取り戻す事が再稼働の原点と考えます。一番重要なのは、メーカーの安全に関する姿勢と技術者個々の拘りです。
電力は、標準設計を元にして建設総コストの削減をどんどんこの20年進めて来て、安全維持の為の研究開発や既存プラントの補修、改造工事を怠った事を反省し改めるべきです。そうでないと、このままの原子力業界に安全リスクを持つ原発を任せる訳にはいかないという思いも強くあります。
現状の延長線上で、原子力エネルギーを考えるのではなく、100%の安全確保を前提に発想を切り替え、安全の多重化にいくら金をかけても化石燃料よりは安いという発想を転換した上で、耐震、運転状態IVの事象想定を増やし、システムの対策を行うなら原発推進はあり得ると思います。
東電が、加害者でありながら補償問題に関して誠意が無い事が気になりますし、別問題ですが、破産申告をさせ会社更生法で現場だけを残し、トップは解雇して欲しいです。


【要約】


ダイアモンド氏は主張する
放射能の危険性と同時に、化石燃料の危険性も考えるべきです。二酸化炭素による地球温暖化はすでに、大きな被害をもたらすサイクロンなどの熱帯低気圧を増やしています。放射性廃棄物は地下深くに封じこめられますが、放出された二酸化炭素は200年間大気中にとどまるのです。
「いま一度、『現実的になろう』と言わせてください。原発事故や地震で文明が続く可能性がそこなわれることはありませんが、二酸化炭素は現代文明の行く末を左右しかねない問題なのです」

電気料金は上がる。いつまで続ける原子炉停止
東京電力は企業向けに電気料金の値上げすると報道されている。工場やオフィスビルなど大口電力需要企業向けの電力料金を4 月から平均17%値上げするという。続いて家庭の電力料金の値上げも必至である。
原発停止に伴う火力発電を炊き増している燃料費の増加である。原発の発電量を稼働率80%で運転できるものとし、火力発電で置き換えた場合の燃料費を試算して見た。
東電は約10,000 億円、関電は約6,200 億円、九電は約3500 億円、中部電は約2,200億円、東北電は約2,000 億円など巨額となる。


【要約】フランスは第一次石油危機を契機にエネルギーの自給を目指して原発の導入を図り、電力は原発と水力でほとんど全てを賄っています。エネルギー全体の自給率は50%前後であり今後もこの値を維持します。
ドイツもエネルギー自給を重要視していますが、原発は国際河川に面した内陸に作られており、原発にこれ以上頼れない状況です。メルケル首相の発言では、脱原発は織り込み済みであり、豊富な風力資源が期待できるので2030年頃にはなんとか脱原発を完了して、現状とほぼ同じ40%前後を自給することを目指していると言っています日本は平成22年に策定したエネルギー基本計画では、2030年には原子力の増設と自然エネルギーの大幅導入で現状の18%から36%までの増加を達成し、2000年半ばにはドイツ、フランス並みになる計画でした。ところが、新規増設をしない減原発や原発を止める脱原発が世論を賑わし、いつの間にかコストとかリスクとかベストミックスとか、天然ガス発電などに議論が移り、自給率は忘れられそうな勢いです。
ホルムズ海峡封鎖に続き、インドネシアも原油の輸出を停止すると言っています。天然ガスは石油と連動しています。欧州は問題ないが、日本韓国は大変なことに。原発の再起動を早めないと大変なこになります。危機管理能力はあるのか日本政府????


【要約】
 昨年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、その後来襲した大津波で福島原発事故が発生した。大津波が起因したとはいえ、なぜ我国の電力会社や規制当局が想定外と言われる津波を認識して安全を守れなかったのだろうか。
 筆者はその根本原因は日本の規制及び日本社会がその意図とは逆に電力会社に安全性を向上させないように作用しているためではないか、これらが電力会社の手足を縛り、身動きできないようにしているためではないかと考え始めている。これに対し、電力会社は電気事業法に守られているがゆえに現状に甘えているためではないかと考え始めている

22号 歴史から見た「万が一問題」と原子力


カテゴリ:  福島事故    2012-1-13 7:20   閲覧 (2849)
会員の皆様、昨年は原子力界にとって想像を絶する大変な年でした。民主党政権になって2年半。随所で国力の低下が感じられた一年でした。本年は、皆様方と協働して新しい展望が開けるよう一層精進していきたいと思います。皆様のご多幸とIOJの発展を心より祈念いたします。

1.原子力と自然エネルギー

現在、日本は色々な意味で岐路に立たされている。福島原発事故によって先鋭化した原発問題はその一つ。事故発生後10カ月を経て冷温停止状態に達したものの、現場における汚染水処理や環境放射能の除染といった課題は未処理のため不安は十分に解消されていない。このため反原発の“空気”がマスコミに醸成され国民の間で猛威を振っている。事故の悲惨さを考えれば仕方がないと思う反面、それが重大な国家の運命に関わっていると思うと複雑な思いである。しかし、福島原発事故に負けて誤った結論を出してはいけないのも事実。反原発の結論を急ぎたい勢力が活発な活動を展開している現在、時間が問題解決するのを、腕を拱(こまね)いて見ている状況ではない。国民一人一人が事実を知ってしっかり発言して行くこと、それが結局、福島だけでなく日本の将来のためでもある。

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21号  原子力発電は本当に危険か  


カテゴリ:  原子力安全    2011-12-22 10:19   閲覧 (4637)



【要約】
14mの津波高さを想定して設備を設計していなかったことで、東電の責任が問われていますが、想定高さをどうすればよかったのかなど津波対策、対応の責任問題は、国の調査委員会などの評価、結論に譲りますが、新潟大地震に見舞われた柏崎刈羽原子力発電所では、安全設備で損傷した例は無く、福島第一原子力発電所でも地震発生後、津波襲来までは設計どおりに機器は動いていたことから、耐震設計は十分に機能していたことは間違いないようです。
津波によって、非常用ディーゼル発電機、電源盤等が冠水し、燃料タンク等が流されましたが、原子炉建屋、タービン建屋などは、びくともしていませんでした。このことは、津波に対して主要建屋の防水、耐水対策をしっかり実施しておけば対応できるということを意味しています。外部電源の確保、津波に対する防水、耐水対策を既設の原子力発電所に実施していくことは難しいことではありません。すでに、米、仏、英国などでは、対応をとっています。
放射能汚染による人体への影響が心配されていますが、炉心が全て吹き飛んだチェルノブイリ事故でも、・・・・・