IOJだより マスコミ関連編集局
衆院選の結果は自民党圧勝でした。IOJだよりでは、選挙の総括として、反原発票に焦点を当て、その行方を追ってみました。
衆院選の結果は自民党圧勝でした。IOJだよりでは、選挙の総括として、反原発票に焦点を当て、その行方を追ってみました。
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参院選の結果
平成25年7月21日に実施された参議院選挙の結果は、事前に予想されていた通り、自民党圧勝、民主党惨敗の結果となった。衆参のねじれも解消して自民党にとっては、まずは積極的な政策運営が叶う良好な環境が整ったと言えよう。アベノミクスを成功させ、日本の経済の立て直しを一日も早く実現するよう、全力で取り組んで貰いたい。経済を立て直すには、電力の安価で安定した供給が不可欠であり、早期の原子力発電所の再稼働を達成すべきである。
何もしなかったばかりではなく、各省庁に集積されて来た情報、知見を有効利用すること無く、嘘を並べたてたマニュフェストに従って、ひたすら日本を傷つける事に専念した民主党政権が、国民に見放されたのは当然の報いであろう。市民運動家的センスで国政を行って日本の原子力発電に壊滅的な打撃を与えたうえに、党の決定に反して公認を取り消された無所属候補を応援した菅元首相の処分すら出来ない政党であることが明らかになった今、彼等に国政を担当できるはずの無かった事を、国民の多くが再認識しているのである。
民主党政権下の3年半で日本の経済が大きく悪化した為に、今回の参院選ではなるべく早い景気回復が国民の最も期待する政策となり、原発は争点にならなかった。今回の参院選での結果に、その期待が反映されていると見ることが出来る。
争点とはならなかったとはいえ、それでも反原発を何らかの形で公約に掲げた政党は多い。原発について積極的に反対を唱えた政党を見てみよう。積極的に原発ゼロを主張していた民主党が惨敗したことは既に述べた。原発ゼロを声高に謳っていた生活の党は全ての選挙区と比例代表で議席を得られず、6議席を失って非改選の2名を残すだけとなった。みどりの風は全敗し姿を消した。社民党も又市氏のみが、かろうじて比例代表として議席を得て、非改選と合わせて3名となって弱小化が更に進んだ。これらの結果を見れば、原子力反対だけに頼って選挙を戦っても、国民は動かないということが示されたと言えよう。
原子力施設の立地地域での選挙結果はどうなのだろうか。これ等の地域の住民は、原子力施設から直接的に影響を受ける訳で、原子力についての知識も豊富であり、その利害得失も理解したうえで投票を行ったと考えられる。この様な背景を持つ原子力施設のある道及び県で、自民党の候補者が全て一位当選を果たしているという厳然たる事実を見て取ることが出来る。大規模な原子力施設を抱える道及び県は全部で13(北海道、青森、宮城、福島、茨城、新潟、石川、福井、静岡、島根、愛媛、佐賀、鹿児島)有るが、このうち、一位当選を果たした自民党議員の得票数より反原発を主張した民主党、共産党、社民党などの得票数の合計がわずかながらではあるが上回った県は、宮城県、新潟県、静岡県の3県のみであり、残りの10県では、自民党候補の得票数が大きく反原発候補の得票数を上回っているのである。とりわけ影響を強く受けている福島県を見ても、自民党の森まさこ氏は484,089票を獲得し、民主党の金子恵美氏(240,842票)、共産党の岩淵友氏(77,401票)、社民党の遠藤陽子氏(35,801票)全員の得票数の合計353,044票と比べて、13万票以上の差を付けて当選しているのである。
次に、反原発を主張し続けている朝日新聞、毎日新聞を見てみよう。両新聞とも、選挙前に世論調査をしており、その結果国民の半数以上は原発の再稼動に反対であると結論付けている。毎日新聞に至ってはご丁寧にも、選挙の結果が判った後の7月23日付で「原発と民意」(推進への信任ではない)と題する社説を出している。もともと新聞社が行う世論調査と称するものは、その質問の仕方にしばしば恣意的に回答を誘導するようなものが多く、彼らの都合に合うような結果が得られるようになっており、とても中立的、公平な調査とは呼べないものである。とりわけ朝日、毎日、東京の三紙の原発に関する世論調査には偏見のあるものが多く信頼できないものなのであるが、彼らの世論調査の欺瞞性が今回の選挙結果に明確に現れていると考えるのは筆者ばかりではあるまい。
毎日新聞が前述の社説で、元から日本経済の好転を考えない共産党の新人や、タレントとしての知名度で当選したと思われる山本氏を取り上げて、「彼らが当選したのは原発ゼロを重視した人々が少なくなかったことの現われと考えられる」と無理やりに結論づけているのは、全体像を客観的に見る能力が無いことを露呈したうえで、瑣末な現象(=藁)にすがって自らの主張をごり押しする負け惜しみにしか聞こえない。
この様に、間違った主張を重ねる新聞の世論調査とやらに騙されて、「反原発」を唱えれば勝てるかもしれないと誤解した候補者、政党の末路が如何に哀れであるか、今回の選挙結果が示している。
しかしながら、こと原子力発電所の再稼動、あるいは今後の原子力政策の積極的な推進という観点から、今回の選挙結果を見てみると、若干の不安要素も垣間見えてくる。自民党の選挙戦略にも沿っているのであろうと考えられるが、原子力が今回の選挙の争点とはならず、原子力不要あるいは原発反対を唱えていたのは共産党や既述の一部弱小政党だけであった。その結果、今回の選挙結果を見ただけで、国民が原子力発電の必要性を認識し、それ故に自民党を選択したというのは、無理がある。国民がどの程度原子力発電を支持しているのか、あるいはその必要性を認識しているのかは、明確には見えてきていない。
本来であれば、今回のように国論が二分されるような災害が起こった後の選挙においては、与党となる可能性の有る政党は選挙の際に原子力発電をどの様の取り扱うかを明確に示し、国民も曖昧なままに投票をするのではなく、熟慮した上で政党なり候補者を選択するのが、議会制民主主義の成熟し
た姿である。だが、残念ながら、現在の日本の選挙を見ていると、自民党の選挙戦略が一概に間違っているとは言えず、日本の議会制民主主義の定着までには、更に時が必要であるとの感を抱かざるを得ない。
まとめ
さて、今回の参院選の結果見えてきた、原子力発電所の再稼動、あるいは原子力発電推進についての不安要素を2点示しておきたい。
不安要素 その1
共産党が議席を増やしたのは、投票率の低迷が追い風になっている面が否定できない。固定的な得票数を得られる組織票に依存している共産党は、投票率が低迷すれば相対的な得票数が増えることになり、今回のように5議席も積み増すという結果も得られることになる。とりわけ比例代表の当選確率が高まるわけであり、原子力発電を推進しようと考えている国民は、少なくとも安易に棄権をしてはならないということであろう。共産党はほぼ恒常的に500万票程度を得ていることを肝に銘じておく必要がある。しかし、それよりも危機的であると思われるのは、共産党が選挙区で得た議席の内容である。
共産党が選挙区で得た3議席は、東京都の吉良氏が5名の当選者の中で3位の得票(674,706票)、大阪府の辰巳氏が4名中4位の得票(468,904票)、京都府の倉林氏が2名中2位の得票(219,273票)であった。共産党が当選した選挙区はいずれも原子力発電所が有る訳では無く、逆に原子力発電所の恩恵を受けている都府であるにも拘わらず、原発ゼロを標榜す
る共産党がこの様な結果を享受できるのは、原子力についての正しい知識が都市部に十分に伝わっていないからであるとの感を強くするものである。
都市部での棄権をなるべく減らすべく努力することによって共産党の相対的地位の向上を阻止するとともに、原発推進の活動を活発化させ、正しい知識を国民の多くに普及させるべく活動することの重要性を改めて痛感する次第である。
不安要素 その2
東京において、共産党の吉良氏についで4位の得票率で当選した山本太郎氏は、極端な反原発を唱えて無所属の議員となる事に成功した。山本氏が当選した要素の一つは、すでに反原発を唱える新聞社の世論調査についての評価に関連して記述したが、タレントという職業に由来する知名度の高さであろうが、反原発を謳っていたにも拘らず、60万票以上を得て当選したという事実については、原子力関係者は重く受け止めるべきであろう。現在、選挙違反の可能性があるなどで、注目を集めており、結果的に議席を維持できるかどうか分からぬが、彼が失格となると次点の民主党鈴木寛氏が当選となるという、国民にとってはやりきれない結果が待っている。
自民党の圧勝という結果が得られた今回の参院選挙であるが、中身を見ると、原子力発電の必要性を強く信じている我々にとって必ずしも楽観できる結果ではなかったと総括し、これからも地道な意見の発表を通じて、日本に原子力発電が定着するよう努力を重ねていきたいと考える。
(E.I記)
参院選の結果
平成25年7月21日に実施された参議院選挙の結果は、事前に予想されていた通り、自民党圧勝、民主党惨敗の結果となった。衆参のねじれも解消して自民党にとっては、まずは積極的な政策運営が叶う良好な環境が整ったと言えよう。アベノミクスを成功させ、日本の経済の立て直しを一日も早く実現するよう、全力で取り組んで貰いたい。経済を立て直すには、電力の安価で安定した供給が不可欠であり、早期の原子力発電所の再稼働を達成すべきである。
何もしなかったばかりではなく、各省庁に集積されて来た情報、知見を有効利用すること無く、嘘を並べたてたマニュフェストに従って、ひたすら日本を傷つける事に専念した民主党政権が、国民に見放されたのは当然の報いであろう。市民運動家的センスで国政を行って日本の原子力発電に壊滅的な打撃を与えたうえに、党の決定に反して公認を取り消された無所属候補を応援した菅元首相の処分すら出来ない政党であることが明らかになった今、彼等に国政を担当できるはずの無かった事を、国民の多くが再認識しているのである。
民主党政権下の3年半で日本の経済が大きく悪化した為に、今回の参院選ではなるべく早い景気回復が国民の最も期待する政策となり、原発は争点にならなかった。今回の参院選での結果に、その期待が反映されていると見ることが出来る。
争点とはならなかったとはいえ、それでも反原発を何らかの形で公約に掲げた政党は多い。原発について積極的に反対を唱えた政党を見てみよう。積極的に原発ゼロを主張していた民主党が惨敗したことは既に述べた。原発ゼロを声高に謳っていた生活の党は全ての選挙区と比例代表で議席を得られず、6議席を失って非改選の2名を残すだけとなった。みどりの風は全敗し姿を消した。社民党も又市氏のみが、かろうじて比例代表として議席を得て、非改選と合わせて3名となって弱小化が更に進んだ。これらの結果を見れば、原子力反対だけに頼って選挙を戦っても、国民は動かないということが示されたと言えよう。
原子力施設の立地地域での選挙結果はどうなのだろうか。これ等の地域の住民は、原子力施設から直接的に影響を受ける訳で、原子力についての知識も豊富であり、その利害得失も理解したうえで投票を行ったと考えられる。この様な背景を持つ原子力施設のある道及び県で、自民党の候補者が全て一位当選を果たしているという厳然たる事実を見て取ることが出来る。大規模な原子力施設を抱える道及び県は全部で13(北海道、青森、宮城、福島、茨城、新潟、石川、福井、静岡、島根、愛媛、佐賀、鹿児島)有るが、このうち、一位当選を果たした自民党議員の得票数より反原発を主張した民主党、共産党、社民党などの得票数の合計がわずかながらではあるが上回った県は、宮城県、新潟県、静岡県の3県のみであり、残りの10県では、自民党候補の得票数が大きく反原発候補の得票数を上回っているのである。とりわけ影響を強く受けている福島県を見ても、自民党の森まさこ氏は484,089票を獲得し、民主党の金子恵美氏(240,842票)、共産党の岩淵友氏(77,401票)、社民党の遠藤陽子氏(35,801票)全員の得票数の合計353,044票と比べて、13万票以上の差を付けて当選しているのである。
次に、反原発を主張し続けている朝日新聞、毎日新聞を見てみよう。両新聞とも、選挙前に世論調査をしており、その結果国民の半数以上は原発の再稼動に反対であると結論付けている。毎日新聞に至ってはご丁寧にも、選挙の結果が判った後の7月23日付で「原発と民意」(推進への信任ではない)と題する社説を出している。もともと新聞社が行う世論調査と称するものは、その質問の仕方にしばしば恣意的に回答を誘導するようなものが多く、彼らの都合に合うような結果が得られるようになっており、とても中立的、公平な調査とは呼べないものである。とりわけ朝日、毎日、東京の三紙の原発に関する世論調査には偏見のあるものが多く信頼できないものなのであるが、彼らの世論調査の欺瞞性が今回の選挙結果に明確に現れていると考えるのは筆者ばかりではあるまい。
毎日新聞が前述の社説で、元から日本経済の好転を考えない共産党の新人や、タレントとしての知名度で当選したと思われる山本氏を取り上げて、「彼らが当選したのは原発ゼロを重視した人々が少なくなかったことの現われと考えられる」と無理やりに結論づけているのは、全体像を客観的に見る能力が無いことを露呈したうえで、瑣末な現象(=藁)にすがって自らの主張をごり押しする負け惜しみにしか聞こえない。
この様に、間違った主張を重ねる新聞の世論調査とやらに騙されて、「反原発」を唱えれば勝てるかもしれないと誤解した候補者、政党の末路が如何に哀れであるか、今回の選挙結果が示している。
しかしながら、こと原子力発電所の再稼動、あるいは今後の原子力政策の積極的な推進という観点から、今回の選挙結果を見てみると、若干の不安要素も垣間見えてくる。自民党の選挙戦略にも沿っているのであろうと考えられるが、原子力が今回の選挙の争点とはならず、原子力不要あるいは原発反対を唱えていたのは共産党や既述の一部弱小政党だけであった。その結果、今回の選挙結果を見ただけで、国民が原子力発電の必要性を認識し、それ故に自民党を選択したというのは、無理がある。国民がどの程度原子力発電を支持しているのか、あるいはその必要性を認識しているのかは、明確には見えてきていない。
本来であれば、今回のように国論が二分されるような災害が起こった後の選挙においては、与党となる可能性の有る政党は選挙の際に原子力発電をどの様の取り扱うかを明確に示し、国民も曖昧なままに投票をするのではなく、熟慮した上で政党なり候補者を選択するのが、議会制民主主義の成熟し
た姿である。だが、残念ながら、現在の日本の選挙を見ていると、自民党の選挙戦略が一概に間違っているとは言えず、日本の議会制民主主義の定着までには、更に時が必要であるとの感を抱かざるを得ない。
まとめ
さて、今回の参院選の結果見えてきた、原子力発電所の再稼動、あるいは原子力発電推進についての不安要素を2点示しておきたい。
不安要素 その1
共産党が議席を増やしたのは、投票率の低迷が追い風になっている面が否定できない。固定的な得票数を得られる組織票に依存している共産党は、投票率が低迷すれば相対的な得票数が増えることになり、今回のように5議席も積み増すという結果も得られることになる。とりわけ比例代表の当選確率が高まるわけであり、原子力発電を推進しようと考えている国民は、少なくとも安易に棄権をしてはならないということであろう。共産党はほぼ恒常的に500万票程度を得ていることを肝に銘じておく必要がある。しかし、それよりも危機的であると思われるのは、共産党が選挙区で得た議席の内容である。
共産党が選挙区で得た3議席は、東京都の吉良氏が5名の当選者の中で3位の得票(674,706票)、大阪府の辰巳氏が4名中4位の得票(468,904票)、京都府の倉林氏が2名中2位の得票(219,273票)であった。共産党が当選した選挙区はいずれも原子力発電所が有る訳では無く、逆に原子力発電所の恩恵を受けている都府であるにも拘わらず、原発ゼロを標榜す
る共産党がこの様な結果を享受できるのは、原子力についての正しい知識が都市部に十分に伝わっていないからであるとの感を強くするものである。
都市部での棄権をなるべく減らすべく努力することによって共産党の相対的地位の向上を阻止するとともに、原発推進の活動を活発化させ、正しい知識を国民の多くに普及させるべく活動することの重要性を改めて痛感する次第である。
不安要素 その2
東京において、共産党の吉良氏についで4位の得票率で当選した山本太郎氏は、極端な反原発を唱えて無所属の議員となる事に成功した。山本氏が当選した要素の一つは、すでに反原発を唱える新聞社の世論調査についての評価に関連して記述したが、タレントという職業に由来する知名度の高さであろうが、反原発を謳っていたにも拘らず、60万票以上を得て当選したという事実については、原子力関係者は重く受け止めるべきであろう。現在、選挙違反の可能性があるなどで、注目を集めており、結果的に議席を維持できるかどうか分からぬが、彼が失格となると次点の民主党鈴木寛氏が当選となるという、国民にとってはやりきれない結果が待っている。
自民党の圧勝という結果が得られた今回の参院選挙であるが、中身を見ると、原子力発電の必要性を強く信じている我々にとって必ずしも楽観できる結果ではなかったと総括し、これからも地道な意見の発表を通じて、日本に原子力発電が定着するよう努力を重ねていきたいと考える。
(E.I記)
IOJだより マスコミ関連編集局
衆院選の結果は自民党圧勝でした。IOJだよりでは、選挙の総括として、反原発票に焦点を当て、その行方を追ってみました。
衆院選の結果は自民党圧勝でした。IOJだよりでは、選挙の総括として、反原発票に焦点を当て、その行方を追ってみました。
IOJだより pdf
参院選の結果
平成25年7月21日に実施された参議院選挙の結果は、事前に予想されていた通り、自民党圧勝、民主党惨敗の結果となった。衆参のねじれも解消して自民党にとっては、まずは積極的な政策運営が叶う良好な環境が整ったと言えよう。アベノミクスを成功させ、日本の経済の立て直しを一日も早く実現するよう、全力で取り組んで貰いたい。経済を立て直すには、電力の安価で安定した供給が不可欠であり、早期の原子力発電所の再稼働を達成すべきである。
何もしなかったばかりではなく、各省庁に集積されて来た情報、知見を有効利用すること無く、嘘を並べたてたマニュフェストに従って、ひたすら日本を傷つける事に専念した民主党政権が、国民に見放されたのは当然の報いであろう。市民運動家的センスで国政を行って日本の原子力発電に壊滅的な打撃を与えたうえに、党の決定に反して公認を取り消された無所属候補を応援した菅元首相の処分すら出来ない政党であることが明らかになった今、彼等に国政を担当できるはずの無かった事を、国民の多くが再認識しているのである。
民主党政権下の3年半で日本の経済が大きく悪化した為に、今回の参院選ではなるべく早い景気回復が国民の最も期待する政策となり、原発は争点にならなかった。今回の参院選での結果に、その期待が反映されていると見ることが出来る。
争点とはならなかったとはいえ、それでも反原発を何らかの形で公約に掲げた政党は多い。原発について積極的に反対を唱えた政党を見てみよう。積極的に原発ゼロを主張していた民主党が惨敗したことは既に述べた。原発ゼロを声高に謳っていた生活の党は全ての選挙区と比例代表で議席を得られず、6議席を失って非改選の2名を残すだけとなった。みどりの風は全敗し姿を消した。社民党も又市氏のみが、かろうじて比例代表として議席を得て、非改選と合わせて3名となって弱小化が更に進んだ。これらの結果を見れば、原子力反対だけに頼って選挙を戦っても、国民は動かないということが示されたと言えよう。
原子力施設の立地地域での選挙結果はどうなのだろうか。これ等の地域の住民は、原子力施設から直接的に影響を受ける訳で、原子力についての知識も豊富であり、その利害得失も理解したうえで投票を行ったと考えられる。この様な背景を持つ原子力施設のある道及び県で、自民党の候補者が全て一位当選を果たしているという厳然たる事実を見て取ることが出来る。大規模な原子力施設を抱える道及び県は全部で13(北海道、青森、宮城、福島、茨城、新潟、石川、福井、静岡、島根、愛媛、佐賀、鹿児島)有るが、このうち、一位当選を果たした自民党議員の得票数より反原発を主張した民主党、共産党、社民党などの得票数の合計がわずかながらではあるが上回った県は、宮城県、新潟県、静岡県の3県のみであり、残りの10県では、自民党候補の得票数が大きく反原発候補の得票数を上回っているのである。とりわけ影響を強く受けている福島県を見ても、自民党の森まさこ氏は484,089票を獲得し、民主党の金子恵美氏(240,842票)、共産党の岩淵友氏(77,401票)、社民党の遠藤陽子氏(35,801票)全員の得票数の合計353,044票と比べて、13万票以上の差を付けて当選しているのである。
次に、反原発を主張し続けている朝日新聞、毎日新聞を見てみよう。両新聞とも、選挙前に世論調査をしており、その結果国民の半数以上は原発の再稼動に反対であると結論付けている。毎日新聞に至ってはご丁寧にも、選挙の結果が判った後の7月23日付で「原発と民意」(推進への信任ではない)と題する社説を出している。もともと新聞社が行う世論調査と称するものは、その質問の仕方にしばしば恣意的に回答を誘導するようなものが多く、彼らの都合に合うような結果が得られるようになっており、とても中立的、公平な調査とは呼べないものである。とりわけ朝日、毎日、東京の三紙の原発に関する世論調査には偏見のあるものが多く信頼できないものなのであるが、彼らの世論調査の欺瞞性が今回の選挙結果に明確に現れていると考えるのは筆者ばかりではあるまい。
毎日新聞が前述の社説で、元から日本経済の好転を考えない共産党の新人や、タレントとしての知名度で当選したと思われる山本氏を取り上げて、「彼らが当選したのは原発ゼロを重視した人々が少なくなかったことの現われと考えられる」と無理やりに結論づけているのは、全体像を客観的に見る能力が無いことを露呈したうえで、瑣末な現象(=藁)にすがって自らの主張をごり押しする負け惜しみにしか聞こえない。
この様に、間違った主張を重ねる新聞の世論調査とやらに騙されて、「反原発」を唱えれば勝てるかもしれないと誤解した候補者、政党の末路が如何に哀れであるか、今回の選挙結果が示している。
しかしながら、こと原子力発電所の再稼動、あるいは今後の原子力政策の積極的な推進という観点から、今回の選挙結果を見てみると、若干の不安要素も垣間見えてくる。自民党の選挙戦略にも沿っているのであろうと考えられるが、原子力が今回の選挙の争点とはならず、原子力不要あるいは原発反対を唱えていたのは共産党や既述の一部弱小政党だけであった。その結果、今回の選挙結果を見ただけで、国民が原子力発電の必要性を認識し、それ故に自民党を選択したというのは、無理がある。国民がどの程度原子力発電を支持しているのか、あるいはその必要性を認識しているのかは、明確には見えてきていない。
本来であれば、今回のように国論が二分されるような災害が起こった後の選挙においては、与党となる可能性の有る政党は選挙の際に原子力発電をどの様の取り扱うかを明確に示し、国民も曖昧なままに投票をするのではなく、熟慮した上で政党なり候補者を選択するのが、議会制民主主義の成熟し
た姿である。だが、残念ながら、現在の日本の選挙を見ていると、自民党の選挙戦略が一概に間違っているとは言えず、日本の議会制民主主義の定着までには、更に時が必要であるとの感を抱かざるを得ない。
まとめ
さて、今回の参院選の結果見えてきた、原子力発電所の再稼動、あるいは原子力発電推進についての不安要素を2点示しておきたい。
不安要素 その1
共産党が議席を増やしたのは、投票率の低迷が追い風になっている面が否定できない。固定的な得票数を得られる組織票に依存している共産党は、投票率が低迷すれば相対的な得票数が増えることになり、今回のように5議席も積み増すという結果も得られることになる。とりわけ比例代表の当選確率が高まるわけであり、原子力発電を推進しようと考えている国民は、少なくとも安易に棄権をしてはならないということであろう。共産党はほぼ恒常的に500万票程度を得ていることを肝に銘じておく必要がある。しかし、それよりも危機的であると思われるのは、共産党が選挙区で得た議席の内容である。
共産党が選挙区で得た3議席は、東京都の吉良氏が5名の当選者の中で3位の得票(674,706票)、大阪府の辰巳氏が4名中4位の得票(468,904票)、京都府の倉林氏が2名中2位の得票(219,273票)であった。共産党が当選した選挙区はいずれも原子力発電所が有る訳では無く、逆に原子力発電所の恩恵を受けている都府であるにも拘わらず、原発ゼロを標榜す
る共産党がこの様な結果を享受できるのは、原子力についての正しい知識が都市部に十分に伝わっていないからであるとの感を強くするものである。
都市部での棄権をなるべく減らすべく努力することによって共産党の相対的地位の向上を阻止するとともに、原発推進の活動を活発化させ、正しい知識を国民の多くに普及させるべく活動することの重要性を改めて痛感する次第である。
不安要素 その2
東京において、共産党の吉良氏についで4位の得票率で当選した山本太郎氏は、極端な反原発を唱えて無所属の議員となる事に成功した。山本氏が当選した要素の一つは、すでに反原発を唱える新聞社の世論調査についての評価に関連して記述したが、タレントという職業に由来する知名度の高さであろうが、反原発を謳っていたにも拘らず、60万票以上を得て当選したという事実については、原子力関係者は重く受け止めるべきであろう。現在、選挙違反の可能性があるなどで、注目を集めており、結果的に議席を維持できるかどうか分からぬが、彼が失格となると次点の民主党鈴木寛氏が当選となるという、国民にとってはやりきれない結果が待っている。
自民党の圧勝という結果が得られた今回の参院選挙であるが、中身を見ると、原子力発電の必要性を強く信じている我々にとって必ずしも楽観できる結果ではなかったと総括し、これからも地道な意見の発表を通じて、日本に原子力発電が定着するよう努力を重ねていきたいと考える。
(E.I記)
参院選の結果
平成25年7月21日に実施された参議院選挙の結果は、事前に予想されていた通り、自民党圧勝、民主党惨敗の結果となった。衆参のねじれも解消して自民党にとっては、まずは積極的な政策運営が叶う良好な環境が整ったと言えよう。アベノミクスを成功させ、日本の経済の立て直しを一日も早く実現するよう、全力で取り組んで貰いたい。経済を立て直すには、電力の安価で安定した供給が不可欠であり、早期の原子力発電所の再稼働を達成すべきである。
何もしなかったばかりではなく、各省庁に集積されて来た情報、知見を有効利用すること無く、嘘を並べたてたマニュフェストに従って、ひたすら日本を傷つける事に専念した民主党政権が、国民に見放されたのは当然の報いであろう。市民運動家的センスで国政を行って日本の原子力発電に壊滅的な打撃を与えたうえに、党の決定に反して公認を取り消された無所属候補を応援した菅元首相の処分すら出来ない政党であることが明らかになった今、彼等に国政を担当できるはずの無かった事を、国民の多くが再認識しているのである。
民主党政権下の3年半で日本の経済が大きく悪化した為に、今回の参院選ではなるべく早い景気回復が国民の最も期待する政策となり、原発は争点にならなかった。今回の参院選での結果に、その期待が反映されていると見ることが出来る。
争点とはならなかったとはいえ、それでも反原発を何らかの形で公約に掲げた政党は多い。原発について積極的に反対を唱えた政党を見てみよう。積極的に原発ゼロを主張していた民主党が惨敗したことは既に述べた。原発ゼロを声高に謳っていた生活の党は全ての選挙区と比例代表で議席を得られず、6議席を失って非改選の2名を残すだけとなった。みどりの風は全敗し姿を消した。社民党も又市氏のみが、かろうじて比例代表として議席を得て、非改選と合わせて3名となって弱小化が更に進んだ。これらの結果を見れば、原子力反対だけに頼って選挙を戦っても、国民は動かないということが示されたと言えよう。
原子力施設の立地地域での選挙結果はどうなのだろうか。これ等の地域の住民は、原子力施設から直接的に影響を受ける訳で、原子力についての知識も豊富であり、その利害得失も理解したうえで投票を行ったと考えられる。この様な背景を持つ原子力施設のある道及び県で、自民党の候補者が全て一位当選を果たしているという厳然たる事実を見て取ることが出来る。大規模な原子力施設を抱える道及び県は全部で13(北海道、青森、宮城、福島、茨城、新潟、石川、福井、静岡、島根、愛媛、佐賀、鹿児島)有るが、このうち、一位当選を果たした自民党議員の得票数より反原発を主張した民主党、共産党、社民党などの得票数の合計がわずかながらではあるが上回った県は、宮城県、新潟県、静岡県の3県のみであり、残りの10県では、自民党候補の得票数が大きく反原発候補の得票数を上回っているのである。とりわけ影響を強く受けている福島県を見ても、自民党の森まさこ氏は484,089票を獲得し、民主党の金子恵美氏(240,842票)、共産党の岩淵友氏(77,401票)、社民党の遠藤陽子氏(35,801票)全員の得票数の合計353,044票と比べて、13万票以上の差を付けて当選しているのである。
次に、反原発を主張し続けている朝日新聞、毎日新聞を見てみよう。両新聞とも、選挙前に世論調査をしており、その結果国民の半数以上は原発の再稼動に反対であると結論付けている。毎日新聞に至ってはご丁寧にも、選挙の結果が判った後の7月23日付で「原発と民意」(推進への信任ではない)と題する社説を出している。もともと新聞社が行う世論調査と称するものは、その質問の仕方にしばしば恣意的に回答を誘導するようなものが多く、彼らの都合に合うような結果が得られるようになっており、とても中立的、公平な調査とは呼べないものである。とりわけ朝日、毎日、東京の三紙の原発に関する世論調査には偏見のあるものが多く信頼できないものなのであるが、彼らの世論調査の欺瞞性が今回の選挙結果に明確に現れていると考えるのは筆者ばかりではあるまい。
毎日新聞が前述の社説で、元から日本経済の好転を考えない共産党の新人や、タレントとしての知名度で当選したと思われる山本氏を取り上げて、「彼らが当選したのは原発ゼロを重視した人々が少なくなかったことの現われと考えられる」と無理やりに結論づけているのは、全体像を客観的に見る能力が無いことを露呈したうえで、瑣末な現象(=藁)にすがって自らの主張をごり押しする負け惜しみにしか聞こえない。
この様に、間違った主張を重ねる新聞の世論調査とやらに騙されて、「反原発」を唱えれば勝てるかもしれないと誤解した候補者、政党の末路が如何に哀れであるか、今回の選挙結果が示している。
しかしながら、こと原子力発電所の再稼動、あるいは今後の原子力政策の積極的な推進という観点から、今回の選挙結果を見てみると、若干の不安要素も垣間見えてくる。自民党の選挙戦略にも沿っているのであろうと考えられるが、原子力が今回の選挙の争点とはならず、原子力不要あるいは原発反対を唱えていたのは共産党や既述の一部弱小政党だけであった。その結果、今回の選挙結果を見ただけで、国民が原子力発電の必要性を認識し、それ故に自民党を選択したというのは、無理がある。国民がどの程度原子力発電を支持しているのか、あるいはその必要性を認識しているのかは、明確には見えてきていない。
本来であれば、今回のように国論が二分されるような災害が起こった後の選挙においては、与党となる可能性の有る政党は選挙の際に原子力発電をどの様の取り扱うかを明確に示し、国民も曖昧なままに投票をするのではなく、熟慮した上で政党なり候補者を選択するのが、議会制民主主義の成熟し
た姿である。だが、残念ながら、現在の日本の選挙を見ていると、自民党の選挙戦略が一概に間違っているとは言えず、日本の議会制民主主義の定着までには、更に時が必要であるとの感を抱かざるを得ない。
まとめ
さて、今回の参院選の結果見えてきた、原子力発電所の再稼動、あるいは原子力発電推進についての不安要素を2点示しておきたい。
不安要素 その1
共産党が議席を増やしたのは、投票率の低迷が追い風になっている面が否定できない。固定的な得票数を得られる組織票に依存している共産党は、投票率が低迷すれば相対的な得票数が増えることになり、今回のように5議席も積み増すという結果も得られることになる。とりわけ比例代表の当選確率が高まるわけであり、原子力発電を推進しようと考えている国民は、少なくとも安易に棄権をしてはならないということであろう。共産党はほぼ恒常的に500万票程度を得ていることを肝に銘じておく必要がある。しかし、それよりも危機的であると思われるのは、共産党が選挙区で得た議席の内容である。
共産党が選挙区で得た3議席は、東京都の吉良氏が5名の当選者の中で3位の得票(674,706票)、大阪府の辰巳氏が4名中4位の得票(468,904票)、京都府の倉林氏が2名中2位の得票(219,273票)であった。共産党が当選した選挙区はいずれも原子力発電所が有る訳では無く、逆に原子力発電所の恩恵を受けている都府であるにも拘わらず、原発ゼロを標榜す
る共産党がこの様な結果を享受できるのは、原子力についての正しい知識が都市部に十分に伝わっていないからであるとの感を強くするものである。
都市部での棄権をなるべく減らすべく努力することによって共産党の相対的地位の向上を阻止するとともに、原発推進の活動を活発化させ、正しい知識を国民の多くに普及させるべく活動することの重要性を改めて痛感する次第である。
不安要素 その2
東京において、共産党の吉良氏についで4位の得票率で当選した山本太郎氏は、極端な反原発を唱えて無所属の議員となる事に成功した。山本氏が当選した要素の一つは、すでに反原発を唱える新聞社の世論調査についての評価に関連して記述したが、タレントという職業に由来する知名度の高さであろうが、反原発を謳っていたにも拘らず、60万票以上を得て当選したという事実については、原子力関係者は重く受け止めるべきであろう。現在、選挙違反の可能性があるなどで、注目を集めており、結果的に議席を維持できるかどうか分からぬが、彼が失格となると次点の民主党鈴木寛氏が当選となるという、国民にとってはやりきれない結果が待っている。
自民党の圧勝という結果が得られた今回の参院選挙であるが、中身を見ると、原子力発電の必要性を強く信じている我々にとって必ずしも楽観できる結果ではなかったと総括し、これからも地道な意見の発表を通じて、日本に原子力発電が定着するよう努力を重ねていきたいと考える。
(E.I記)