会員の皆様、昨年は原子力界にとって想像を絶する大変な年でした。民主党政権になって2年半。随所で国力の低下が感じられた一年でした。本年は、皆様方と協働して新しい展望が開けるよう一層精進していきたいと思います。皆様のご多幸とIOJの発展を心より祈念いたします。
1.原子力と自然エネルギー
現在、日本は色々な意味で岐路に立たされている。福島原発事故によって先鋭化した原発問題はその一つ。事故発生後10カ月を経て冷温停止状態に達したものの、現場における汚染水処理や環境放射能の除染といった課題は未処理のため不安は十分に解消されていない。このため反原発の“空気”がマスコミに醸成され国民の間で猛威を振っている。事故の悲惨さを考えれば仕方がないと思う反面、それが重大な国家の運命に関わっていると思うと複雑な思いである。しかし、福島原発事故に負けて誤った結論を出してはいけないのも事実。反原発の結論を急ぎたい勢力が活発な活動を展開している現在、時間が問題解決するのを、腕を拱(こまね)いて見ている状況ではない。国民一人一人が事実を知ってしっかり発言して行くこと、それが結局、福島だけでなく日本の将来のためでもある。原発廃止は自然エネルギーの代替能力が前提。だが、我が国の自然環境と技術的制約を考えれば自然エネルギーに大きな限界があるのは明白。IOJ便りで、自然エネルギーについて「量的に限界があり、天候に左右される」など、少なくとも我が国では、安定しない低品質の電力源にしかなり得ないことを詳しく紹介し大きな反響を得てきた。国民は一部の反原発新聞やテレビの報道をうのみにしないで、事実を正視して欲しい。それはこの国が将来を誤らないために不可欠なことである。