「原子力発電所の(合理的で、均整の取れた)安全性強化」と、「自然やテロなどの災害に対する(総合的で、含みのある)即応性強化」の二つは相補完して、ようやく本格的な福島対策になり、災害を受けた方々に安心感を与えるものになると見るべきでしょう。そのうち一方だけに偏るのは、事故総体としての安全性が守れないといわざるをえません。しかし現在は、前者に余りに焦点が絞られすぎていることに危惧をもっています。そこで、ここでは後者について考えてみたいと思います。
昨年8月に「IOJだより・第44号」『朝日・読売の原発に関する社説は正反対―1年間の両紙社説の比較分析』(2012年8月1日付)を発行した。そこではIOJ独自の切り口【透視程度】、[主張形式】、【客観性】、【科学性】、【大局観】で両紙社説を比較し、【客観性】、【科学性】で特に大きな差異があることを示した。