SEJ　日本のエネルギーを考える会 - 九州電力川内1号機が定期検査を終え運転再開した－原子力発電の復活の第一歩である

九州電力川内1号機が定期検査を終え運転再開した－原子力発電の復活の第一歩である－

カテゴリ: ニュースレター 2017-2-2 13:10 閲覧 (553)

九州電力川内原子力発電所１号機が再稼働、定格運転、定期検査、起動という本来の姿に戻った。三反園知事は、温暖化防止にも経済活性化にも原子力発電が貢献する現実から目を背けることなく、原子力問題に自信を持って臨んで欲しい

川内原子力発電所１号機が定期検査を終え、再起動した

九州電力川内原子力発電所１号機は、一昨年（2015 年）８月、原子力規制委員会が「新規制基準」に適合したと認めた原子力発電所として全国で初めて再稼働した。その後１年間、定格出力（89 万ｋＷ）で大きなトラブルもなく順調に運転を続け、昨年10 月６日に定期検査に入った。
約２ヶ月にわたる定期検査の後、12 月８日に原子炉を起動、12 月11 日に発電を再開、その後、規制委による総合負荷検査に合格し、１月６日営業運転に復帰した。因みに、２号機は１月１６日に定期検査に入った。

原子力発電が正常な姿に立ち戻った

福島原子力事故の後、原子力発電がすべて停止する等、電力供給が不安定・不透明になっていたが、今回の川内１号機の一連の運用は、再稼働、定格出力運転、定期検査、起動という通常の運転サイクルに事故後はじめて戻った。再稼働を果たした他の原子力発電所の安全・安定運転のモデルとなるはずだ。
福島原子力事故から間もなく６年を迎えようとする中で、ようやく本来の正常な姿に立ち戻った。原子力発電の復活を牽引する着実な一歩である。九州電力のこれまでの努力に敬意を表したい。

知事の理不尽な「即時停止要請」

昨年７月の鹿児島県知事選挙で初当選した三反園知事は、４月の熊本地震で県民の不安が高まっているとして、稼働中だった川内１、２号機の即時停止と「特別点検」を九州電力に要請した。九電は即時停止には応ぜず、１号機、２号機ともに計画通り運転を継続し、その後定期検査に入った。
九電は、地震の影響の有無を確認する「特別点検」の実施は受け入れた。１号機について、定検中に10 項目の点検を実施したが、異常は確認されなかった。

知事は安全の理解を深めたか

定期検査後の起動に地元自治体の同意は不要だが、知事が即時停止を強く要請した経緯があり、対応が注目された。
10 月の薩摩川内市長選挙では、定検後起動を容認する岩切氏が３選を果たし、11 月の鹿児島市長選挙では、稼働停止を訴えた候補者が敗れた。
さらに、知事は、12 月１日の県議会において、「私に原発を稼働させるか稼働させないかの権限はない」と述べ、１号機の起動を事実上認めた。
同じ県議会の一般質問で県政運営の姿勢を問われ、知事は「一部の人の意見だけを聞くのではなく、いろいろな人と同じ、県民目線で行う。」と述べた。今回の定検後起動を巡って、反対派の意見だけを聞くことはなかった。地元や経済界から、知事に冷静沈着な対応を求める声も強かった。
このような様々な動きを背景に、知事は、安全性の理解を深め、定検後起動にまっとうな判断を下したものとみられる。今後とも、県民の不安解消に努めるとともに、県民や立地地域住民の様々な声に耳を傾け、県経済と立地地域活性化について冷静な対応が求められる。

安全運転を積み重ねて、信頼を取り戻すことが肝要である