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D3ブログ - 原子力国民会議 原子力百家争鳴(速報)第15号 前規制委員長代理(島崎邦彦氏)の倫理観を疑う

原子力国民会議 原子力百家争鳴(速報)第15号 前規制委員長代理(島崎邦彦氏)の倫理観を疑う

カテゴリ : 
国民会議
執筆 : 
admin 2016-8-11 13:06

―大飯裁判での陳述書提出後のてんまつ―


 

前規制委員長島崎氏は入倉・三宅 方式に基づいた大飯原発の地震動評価(地震の大きさ)は真の値の1/4程度過小評価されていると主張している。しかしこれは、同氏が現役のときに取りまとめた結論を自ら否定している。その後、当の入倉氏が反論した。規制委員会も精査した。その結果、「島崎氏の主張は科学的には間違い」だということが明らかとなった。このような事態は島崎氏の個人的過誤として看過されるものではない。同氏が現役時代に決定した“敦賀2号機の活断層問題の結論”も審査内容に疑問が生じ、再評価されるべきという大問題が生じる。

危険を煽る地震学者 − 化けの皮が剥がれた島崎 東大名誉教授

島崎氏は、2016 年5 月25 日、日本地球惑星科学連合大会で口頭発表した。また“岩波科学”の2016 年7 月号版に論文発表し、現役時代に審査で自ら決定した入倉・三宅式による大飯3,4 号機の基準地震動が過小評価であるので見直すべきと主張した。理由は、同式は熊本地震の結果を説明できない、ことにあるとした。以下に、同氏の主張が誤りであることを説明したい。
皮肉にも、島崎氏の問題提起は二つの問題点をあぶりだした。
(1)新規制基準適合審査において、原電の調査結果に基づいた主張をかたくなに退け、敦賀2号機の破砕帯を活断層と断定した。この主張が通れば敦賀2号機は廃炉になる。
(2)大飯3・4号機の基準地震動の算定においても断層の同時連動などを要求した。
その結果、関西電力は過剰な設備対応をせざるを得なかった。これらの結論は本当に正しかったのかどうかが、今後問題にされるべきである。
こういった重大事を決められる立場にあった島崎氏は、2016 年6 月の大飯原発の運転差し止め訴訟で、原告側の立場に立って陳述書を提出した。これは関西電力に対して追い討ちをかけるような行動となっている。そもそも、中立的立場であった公人が退職して1 年半で一部の団体の利益になることに加担することは道義上・倫理的に許されるのであろうか。また、このような人物が活断層や基準地震動の審査を行っていたことに大きな驚きをおぼえる。


島崎氏の主張に信頼性はあるのか


入倉氏は、島崎氏の日本地球惑星科学連での発表、“岩波科学”での論文発表について、見解を表明し、多くの傍証データを示しながら島崎氏の主張を明確に否定している。島崎氏は入倉・三宅式を誤って理解し、不適切な解析結果のみを引用し、恣意的な結論を誘導しているのではないかと入倉氏は反論している。
入倉・三宅式は、地震学的データに基づいて、震源断層のすべりが不均質であることを前提に、震源断層の大きさや強振動を出す領域の大きさを評価しているが、島崎氏は、熊本地震に対して均質すべり震源モデルを使って評価している。
熊本地震については、震源断層に関する詳細なデータが記録されており、これらの記録を基に断層のすべり分布の解析結果が他の学者によって示されている。解析結果は熊本地震の断層のすべり分布は不均質であることが分かった。均質モデルの使用は誤りである。入倉氏は反論の最後に、「震源断層から強振動を評価するには、震源断層における不均質すべりが重要な役割を果たすこと、従来型の均質な震源断層モデルでは、被害を引き起こす破壊的な強振動の予測はできない」と述べている。
入倉氏は、島崎氏が過小評価と言った震源パラメータの取り方についても科学的データに基づき検証し、入倉・三宅式が適切であると述べている。逆に、島崎氏が使用すべきとした武村の式(1998)の問題点も指摘している。
また、7 月27 日に行われた定例記者会見で、田中委員長は東大地震研や京大防災研の研究、地震調査推進本部、中央防災会議のレシピなども調査した結果に基づき、島崎氏の主張が科学的には誤りであると指摘した。島崎氏が自分の計算結果の検証も十分行わないで過小評価と騒いだことは学者として問題があると述べている。


規制委員会の倫理規定はどうなっているのか?


島崎氏は原子力規制委員長代理であった。原子力規制委員は、自説を主張する科学者、地震学者と異なり、公平な立場から科学的・技術的判断を下すことが求められる。今回の一連の島崎氏の発言、行動を見た時、前規制委員長代理としての島崎氏の倫理観が疑われるのである。活断層や基準地震動の審査を島崎氏一人に委ねてきた規制委員会の審査の在り方にも問題がある。





相変わらずのメディア


島崎氏の発表について、朝日、毎日、東京各紙はセンセーショナルな報道をした。それは島崎氏のパフォーマンスのみに注目した一方的な記事であった。島崎氏の主張が科学的には間違いであることを示した7 月27 日の田中委員長の記者会見後も、朝日、東京の両紙は島崎氏の主張に沿った記事を書き続けている。真実を追求せず、自社の反原発キャンペーンに合わせた事実誤認記事を掲載し続けることは、もはや報道機関として信頼を失っているのではないか。反原発報道に関する“報道の自由”を悪用した行為と捉えられてもしかたない。これを機に反省して欲しいものである。
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